「高等教育のグランドデザイン」審議まとめ

ちば産学官連携プラットフォーム「⾼等教育のグランドデザイン」2022年度審議中間とりまとめ

ちば産学官連携プラットフォームでは、プラットフォーム参画校による2025年までの『前期中⻑期計画』(グランドデザイン)を、2018年に策定しました。これは⽂部科学省中央教育審議会⼤学分科会将来構想部会における議論(後に、中央教育審議会答申『2040年に向けた⾼等教育のグランドデザイン』)の経過を踏まえながら策定されたものであり、ちば産学官連携プラットフォームの参画校が所在する千葉市を中⼼とした地域における⾼等教育のグランドデザインを⼤胆に描き、地域における⾼等教育機関の役割を再確認するとともに、参画校の強みと弱み、千葉市地域の課題を整理し、共通認識とすることを⽬指しました。また、この『前期中⻑期計画』を、産学官連携を通じたプラットフォームの事業計画の「⼟台」としながら、2018年度以降の具体的な取り組みが実施されてきました。

このことから、本プラットフォームでは、『中⻑期計画』を、「⾼等教育のグランドデザイン」答申を踏まえた高等教育改革の活動の「軸」と位置付け、定期的に点検・評価・検証・改善を進めています。

ちば産学官連携プラットフォームでは、特に千葉県内の18歳人口の動向を捉えながら、グランドデザイン答申に基づく、地域連携プラットフォームの在り方について継続的に検討を進めるとともに、下記のFD/SD研修会や運営委員会において定期的に議論してきました。本審議まとめでは、その議論について公表いたします。

(検討過程)

2021年9⽉:FD/SD研修会

2021年10月:ちば産学官連携プラットフォーム運営員会

2021年10月:2021年度審議中間とりまとめ

2022年2月:ちば産学官連携プラットフォーム運営員会

2022年9月:FD/SD研修会

2022年9月:ちば産学官連携プラットフォーム運営員会

2022年9月:2022年度審議中間とりまとめ

1.18歳人口の減少

急速に進む少子化の影響で、2015年には全国で120万人いた18歳人口が、2035年には100万人を下回ると予測される。千葉県の都市の人口変化に目を向けると、2020年から2030年の15歳~19歳人口は、流山市などごく一部は増加傾向があるものの、千葉市をはじめとした多くの都市では10%~30%以上の人口減となる。こうした流れを受けて、千葉県の2033年の大学入学定員充足率は86.80%と深刻な結果をもたらす。

 

2.社会に開かれた質の保証

文部科学省中央教育審議会大学分科会質保証システム部会「新たな時代を見据えた質保証システムの改善・充実について」(審議まとめ)(令和4年3月18日)では、従来の「学修者本位の大学教育の実現」に、「社会に開かれた質保証の実現」という改善・充実の方向性が付け加えられた。この点は、教育の質保証について、学内における質保証に限らず、行政、産業界、地域等の社会からの要請に基づいた視点が重要であると示唆されている。そこで、ちば産学官連携プラットフォームでは、行政、産業界、地域等のニーズを適切に把握し、それを学修成果の可視化に取り入れていくとともに、プラットフォーム内の大学・短大が開設する資格・免許課程等における同一の学部学科について、行政、産業界、地域等とコミュニケーションを図りながら共通の学修成果の把握方法やその基準を検討することに取り組む必要がある。これは、すでに『中長期計画』においても取り組み内容として盛り込まれており、関係部会で協議を進めていく必要がある。

3.検討過程で出された意見

(18歳人口の減少とプラットフォームの取り組みについて)

・18歳人口の減少を踏まえて、地域連携プラットフォームの役割が重要となってきている。2018年より始動したちば産学官連携プラットフォームは大学・短大を中心に動いてきているが、今後は地方自治体や産業界との連携を強化していくことが望ましく、それが課題となっている。

(リカレント教育について)

・「高等教育のグランドデザイン」の中でかねてから取り上げられている、リカレント教育の部分をどのように位置づけていくべきか、どこに向かって注力をしていくかという説明が今後必要である。リカレント教育は幅がありすぎて、統一した見解が出せていないので、千葉市民の実態に合わせた内容に絞り込む時期に来ている。

・学生が社会に出て学びなおしたいと思った時、まず目を向けるのは出身大学である。ちば産学官連携プラットフォームの取り組みでは、例えば単位互換を利用して、母校で学べなくてもプラットフォームの構成校で学べるといった展開もあるとよい。

(デジタル化の推進について)

・現在、世の中が大きく変化をしていて、中でもデジタル化が急速に進んでいる。企業の間では、中々そこに対応できる人材や旗振り役がいないことが課題となっている。学生が社会で学んでいく中で、デジタル化に取り組み、旗振り役になってもらえると、会社の中でもいい相乗効果が生まれる。

・デジタル庁でも計画が進んでいるデジタル人材の育成について、今回、東京情報大学がちば産学官連携プラットフォームに加入したので、プラットフォームでもできることが増えてきている。また、デジタル田園都市構想なども政府は推進しており、今後行政とも連携していくことが大切であると考えられる。デジタル人材に注目をしながら、リカレント教育も含めて今後も議論をしていく。

4.今後の取り組みについて

 現在、ちば産学官連携プラットフォームでは、2025年度までの『前期中長期計画』に関する中間評価・検証・改善の取り組みを進めている。これを踏まえて、2023年度内に、『前期中長期計画』の修正を行うとともに、『前期中長期計画』にて計画された事業を推進していく。

 2024年度からは、2030年度までの『後期中長期計画』の策定準備に入り、行政、産業界、地域等の関係者からの意見聴取を行う。その上で、2025年度に『後期中長期計画』(第2次グランドデザイン)を策定する。

また、2022年度では、一般社団法人化の予備的調査をちば産学官連携プラットフォーム事務局で行っており、その調査結果を踏まえ、2023年度に、今後のプラットフォームの在り方についても検討する。

 下記の点については、「社会に開かれた質保証」の体制を確立するために、2022年度より順次、関係部会・ワーキンググループで検討する。

(1)教育の質保証として参画校間の教育の質の相互保証体制の構築を検討する。

①現在実施している加盟校間の単位互換は、各⼤学に所属するあらゆる学⽣が単位互換科⽬を履修し、卒業要件の単位として取得できるような取り組みを検討する。

②各参画校の内部質保証の担保に向けて、加盟校の強みを⽣かした⼤学間連携を進める必要がある。例えば、臨床系の学部でいえばOSCEのような学⽣の能⼒の把握を参画校間で共通する課程において、連携して実施し、学⽣の⼒の担保を⼤学間で相互に⾏っていくことを検討する。

(2)ちばスタンダードの開発

①日本学術会議「分野別参照基準」を参考にするとともに、市や産業界とも意見交換を通じて、学修成果の質保証のための「チューニング・プロセス」を進める。

②市や産業界とも意見交換を通じて、学修成果の質保証のために、人材育成に関する「ちばスタンダード(仮称)」(ルーブリック)の開発を進める。

また、産業界との連携の強化‧発展について、下記の方策について、産業界とコミュニケーションを図りながら検討を進めていく。

(3)地元就職の促進

①産業界と連携し、千葉市内に所在する地元企業の紹介ポータルサイトの製作を計画・推進する。

②保育⼠のように現在は需要がある資格も今後、過剰供給となることが想定されるため、将来の動向を⾒据えた就職対策に注⼒する必要がある。

(4)「ちば未来奨学金制度」の創設

以上

2021年度 ちば産学官連携プラットフォーム「高等教育のグランドデザイン」審議まとめ